ドライバーの飛距離がそんなに出ない僕にとってアプローチは、ゴルフの醍醐味であり、スコアを左右する重要な要素だ。特に、難しいライに直面したとき、その本当の意味が試される。
イーグルレイクゴルフクラブのアプローチ練習場での「量稽古」によって、アプローチの精度を高めることができた僕は、自信を持ってラウンドに臨んでいた。だが、その自信を揺るがす体験を桜ゴルフ倶楽部で味わうことになる。

桜ゴルフ倶楽部のグリーン周りは、イーグルレイクとはまったく異なる世界だ。
固く逆目のラフ、深く沈むボール、傾斜地――どの要素も、イーグルレイクのグリーン回りからは想像もつかない難易度だった。結果、練習場で得た感覚をほとんど活かせず、ほとんどがショート。また、カツンとトップしてグリーンオーバーやチャックリ、シャンク…などが次々と顔を出した。ラウンド後には同伴者から「もっとアプローチ練習した方がいい」とまで言われ、得意だったはずのアプローチが一転、苦手意識の塊になってしまった。
この経験から、「練習場での量稽古」だけでは通用しない現実を痛感した。マット上での練習や均一な芝の練習場では、コース特有の状況――不規則な芝目や傾斜、風の影響――に対応する力は磨けない。そこで、僕は実戦さながらの練習を重ねることにした。
まず、桜ゴルフ倶楽部のアプローチ練習場では、綺麗なライではなく、あえてラフにボールを意図的に放り込み、実際の状況を再現して練習した。固い芝目や深いラフからボールをどのように出すべきか、フェースを開いたり、閉じたり、強く打ったり、ふわっと上げて打ったり、失敗と成功を繰り返す。

その中で、ただ高く上げるのではなく、低く転がす選択肢や、どのライでどのような打ち方をすれば良いのか少しずつ学んでいった。
さらに、イーグルレイクのアプローチ練習場でも、あえて難しいシチュエーションを作り出し、練習に取り組むようになった。例えば、傾斜地にボールを置いたり、バンカー越えの難しいショットを再現したりすることで、実際のラウンドで同じ状況に遭遇したときに慌てない対策をしていった。

これらの実戦的な練習を積み重ねた結果、少しずつ「難しいライ」にも冷静に対応できる自信がついてきた。特に意識したのは、「ライを読む力」を養うこと。ボールの沈み具合、芝目の向き、傾斜の角度など、外見だけでは判断できない情報を感覚で掴む力が徐々に身についてきた。これにより、同じライでも今までより最適な打ち方を選びやすくなり、寄せワン率が少し向上した。
振り返ってみると、練習場での量稽古は基礎を作る重要なプロセスだが、それだけでは競技ゴルフにおいて安定した結果を出すのは難しい。コース特有の条件に対応するためには、実戦的な練習を取り入れ、試行錯誤を重ねる必要がある。そして、失敗から学び、次に活かす。この繰り返しが、グリーン周りのアプローチを武器に変える唯一の方法だと実感している。
ゴルフは、常に新しい課題を提供してくれるスポーツだ。その難しさに挑む過程で得られる小さな成功体験が、競技ゴルフの一番の魅力だと思う。次のラウンドでも、新たなライに挑む楽しみを胸に、クラブを握る。
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