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Vol.42 “リカバリー力”こそ競技ゴルフの真価

ゴルフはミスのスポーツだ。ティーショット、セカンド、アプローチ、パット……どれもが「完璧」であることはまず無い。むしろ、いかにして“ミスを最小限にとどめるか”“ミスのあとをどう立て直すか”の方が、競技ゴルフでははるかに重要だと感じている。


江戸崎カントリーの試合でのこと。同組になったハンデキャップ3の選手は、実に安定したプレーをしていた。ほとんどのホールでフェアウェイをキープし、淡々とスコアを重ねていたが、1ホールだけ大きなスライスで隣のホールへ打ち込んでしまった。誰が見ても「あぁ、これは戻すだけかな」と思うような位置だった。 ところがその選手は、木と木の隙間を読み、方向と高さをイメージし、まるで“そこにレールがある”かのようにきれいなフェードボールを打ち、一撃でグリーンオン。結局そのホールをパーでまとめてきた。その一打には、技術以上に「落ち着いた判断力」と「経験に裏打ちされた構想力」を感じた。

僕自身もかつては、ミスをしてパニックになり、さらに打数を重ねてしまうという経験を何度もした。とくに試合では、取り戻そうとして強気に攻めてOB…気が付いたら2桁叩いていたという展開が頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。

しかし、小西プロの指導を受けるようになってから、「ナイスショット」の数よりも「ナイスリカバリー」がスコアを左右するという意識が強くなった。 最近、小西プロから渡された「ラウンド記録をつけるカード」には「林」という欄を設けてあった。これは、林やトラブルからのショットで、どれだけ立て直しが成功したかを記録するものだ。



つまり、ナイスショットの数ではなく、「失敗をいかにリカバリーしたか」こそ、ゴルファーの力量だという評価軸を持っている。最小打数で収める能力こそが、競技者としての格だと。

僕も最近は、小西流のラウンド記録で、その日のリカバリーをメモするようにしている。何番ホール、どこから、何番で打って、どう立て直したか。その蓄積が、自信に繋がってくると思うから。

ラフや林の中に入ったとき、過去の「似た状況で成功した記憶」があると、不思議と冷静になれる。そして、慎重に判断しながらも、勇気をもって攻めることができる。無理をするのではなく、戦略的に“最少打数の現実解”を選びにいくという感覚。

僕が出会ってきたプロゴルファーや片手シングルに共通するのは、「うまくいかなかったことを引きずらない」「そこから立て直す術を知っている」という点だった。彼らはトラブルを“リスク”ではなく、“勝機”と捉えているかのように見える。

競技ゴルフにおいて、本当の実力は、好調時よりも不調時に表れる。ナイスショットよりも、ナイスリカバリーを。「ゴルフが上手い人」は、すなわち「自分のミスと上手く付き合える人」だと、今では確信している。

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